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凱風快晴新刊『 瞬過愁透 』サンプル

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凱風快晴新刊『 瞬過愁透 』サンプル

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作品説明

~夢の終わり~

幸せな時間だった。今まで千年を超え、生きてきた。それでもこれほどに幸せだった時間は無かったと言い切れる。

それも、もう少しなのかと。しんしんと降り積もる雪が、その雪を落としてくる重くねずみ色の空が私の心情とどうかしているかのように思った。

しかし、雪が強くなってきた。これ以上は寒さがきつくなるだろう。
窓を閉め、火鉢に火を起こす。

「寒くない? 慧音」

布団に横になっている彼女に声をかける。

「すまないな、妹紅……」

そう言って微笑む慧音。わかっている。わかっていた。ずっと一緒にいられないなんてことは。
私は不老不死。彼女は人の身だ。そして、その『一緒』の最後はもうすぐに迫っている。

「お前は変わらないな。 私の大好きになった妹紅のままだ」

そう言って寂しそうに笑ってみせる。

「私はもうしわしわのおばあちゃんだ、いつまでもピチピチだなんて、妬ましいぞ、妹紅」

――だったら、慧音も……

言いかけて踏みとどまる。それだけは言ってはいけない、暗黙。少なくとも私にとっては。


~中略~


「数十年前のことだ。どうにも記憶がおぼつかないな」

嘘だ。慧音との思い出ならすべて思い出せる。

「そうか? 私は覚えているぞ? あれは春の十四夜だったか」

嘘だ。 自分でも自分の嘘を信じられていないのは自覚している。 それでも慧音は、私の嘘を信じているのか見抜いているのか、思い出を話し始める。

私の前に、一つの道が。光が瞬いたときの話を。




そして彼女の話は歴史を辿るように昔から時を辿って。
そして私の話は思い出を巡るように今から時を遡って。

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